2016年08月31日

『あしたの君へ』 柚月裕子

あしたの君へ -
あしたの君へ -
26〜30日。

よかったわぁ。
お気に入りの柚月さんの新刊。
今回は、家庭裁判所調査官補、通称「カンポちゃん」。
そのカンポちゃんの望月大地がいろいろな案件を担当し、
調査官として成長していくというもの。
案件ごとの連作短編になっている。

「背負う者」
大地は、窃盗をした少女・友里を担当する。
何も語ろうとしない友里のために妹に話を聞こうと
大地は友里の家を訪れるが、そこはネットカフェだった。

「抱かれる者」
ストーカーをした少年・潤は、面接を行うと
とてもきちんとした優等生だった。
母親と話した大地は、母親が潤に対し過度の期待をしていると感じる。

「縋る者」
年末年始の休暇を利用し帰省した大地は、
中学時代からの友人たちとの飲み会で、
恋心を抱いていた理沙と再会する。
結婚し幸せそうな理沙だったが。

「責める者」
離婚を望む可南子の夫・駿一は、理想的な男性。
なぜ、可南子が離婚をしたがっているのか、
大地は、駿一の両親から話を聞くが、
駿一の日を感じられず、可南子が通う心療内科を訪れる。

「迷う者」
息子の親権を主張する母親・朋美。
夫とその両親に話を聞き、さらに息子の悠真と話をするが、
悠真は本心を語ろうとしなかった。
そして朋美のすむマンションに訪れた大地は、
不自然なことに気が付く。

どれも良かった。
大地が調査官としてやっていけるか迷いながらも
それぞれの案件に真摯に向かっていく。
どれも単純じゃないし。
それぞれやっぱり悩みっていうか、
問題ってあるよなぁって感じで。

大地のその問題に取り組む姿勢がいい。
新人で悩みながらも。

これ、ぜひシリーズでやってほしいなぁ。
「カンポちゃん」じゃなくなった大地も読んでみたい。
posted by くりきんとん99 at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 柚月裕子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月26日

『東京會舘とわたし 上・下』 辻村深月

東京會舘とわたし(上)旧館 -
東京會舘とわたし(上)旧館 -
東京會舘とわたし(下)新館 -
東京會舘とわたし(下)新館 -
16〜25日。

辻村深月さんが書いた東京會舘を舞台とした連作短編。
上巻は、旧館。下巻は新館。
章を追うごとに時代も進んでいく。

この物語を読むまで東京會舘を知らなかった。
読んで初めて東京會舘が実在すると知った。
どの物語も心が温かになり優しい気持ちになる。
そしてぜひこの東京會舘に行ってみたくなる。
でもあいにく、東京會舘は建て替えということで
しばらくは休館だという。

物語は、大正12年から、平成27年まで。
上巻では、ヴァイオリニストのコンサートに
作家を目指す青年が金沢から出てきて、
偶然なことに東京會舘で
その憧れのヴァイオリニストと遭遇したというエピソードや、
戦時中、灯火管制下に行われた結婚式、
戦後、米兵たちにカクテルを出すバーテンダー、
お土産用のお菓子を考えるパティシエ等等。

下巻では、新館での物語。
死んだ夫との思い出を探しにやってくる夫人。
ディナーショーを前に震える大物歌手。
東日本大震災にあい、昔、料理教室へ通った
東京會舘へ逃れてくる女性たち、
直木賞を受賞し、思い入れ深い東京會舘へやってきた作家等等。

読メで書いていた人もいたけど、
私も下巻のエピソードの方が好きなものが多い。
地震で東京會舘へやってきた女性。
直木賞を受賞する作家。
それぞれが東京會舘に思い入れがあり、
そのエピソード、そしてその後がまた涙を誘う。

直木賞を受賞した辻村さんならではのエピソードで、
読んでいてもその光景が目に見えそう。

これを読んだらホント、東京會舘に行きたくなる。
でもなぁ〜、なかなか行く機会がないうえに、休館中。
新しい建物で営業が再開されるのは、平成30年ころ。
そのころには、この東京會舘のこと、
忘れちゃってそうだしなぁ。
posted by くりきんとん99 at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 辻村深月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月22日

『あきない世傳 金と銀 早瀬篇』 高田郁

あきない世傳金と銀 2(早瀬篇) (ハルキ文庫 た 19-16 時代小説文庫) -
あきない世傳金と銀 2(早瀬篇) (ハルキ文庫 た 19-16 時代小説文庫) -
9日〜15日。

面白かった〜。
このシリーズ、「みをつくし料理帖」とは
また違った面白さだわ。

学者の娘として生まれ、今は大阪天満の呉服商「五鈴屋」に
女衆として奉公する幸。
14歳になった幸に、店主徳兵衛の後添いにとの話が持ち上がる。
放蕩三昧な店主の徳兵衛のために五鈴屋は危機に瀕していた。

徳兵衛の祖母にして五鈴屋を仕切る富久は、
番頭の治兵衛から説得され、呉服仲間へ
幸の後添いの許しを得ることにする。

後添えとはなったが、徳兵衛に女扱いされない幸は、
それをいいこととし、そして商いのことを勉強する。

後添えの話といい、徳兵衛の弟、惣次とのことといい、
なんだかもう予想外の展開で目が離せない。
そしてアホぼんの徳兵衛がまさか、終盤で死んでしまうとは!
少しはいいところ見せてくれるかなぁ?と思ったけど、
結局いいところといえば、幸に手を出さなかったことくらい…?

さらにこのアホぼんの死が、
また幸に予想外の話をもたらす。

これはもう!先が気になってしょうがない!!
「みをつくし〜」は、わりとキリがいい感じだったんだけど、
これはもう!ホントに続きが気になるわ〜〜!!
posted by くりきんとん99 at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 高田郁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする