2012年10月08日

『さようなら、猫』 井上荒野

さようなら、猫 [単行本] / 井上 荒野 (著); 光文社 (刊)
6日〜7日。

井上さんの猫が登場する短編集。
猫が登場する・・・といっても、
猫が主人公ということではなく、
猫は、主人公のすぐ横を通り過ぎていく的な感じ。

猫を助けて、飼うことになった美那。
そのことから、猫のことばかりを考えるようになってしまう。

哲は、よく行くカフェの店員、野衣さんと
客の後藤と三人で、カフェに来る野良猫を
雑誌で知ったイラストレーターのところへ連れて行く。

紫穂の妹、園美が突然、妊娠したから、
猫を預かってほしいとやってくる。

玉の輿にのり、豪邸に住んでいる瑠美は、
ある日、木に登って降りられなくなった猫を見つける。

引きこもりだった亜生は、キャットシッターとして
吉田さんの家に猫の面倒を見にやってくるが、
猫の姿は見つからなかった。

美容師の誠二と旅行に来た主婦の頼子は、
瀕死の重傷の猫を見つけ、動物病院に連れて行く。

かなえは職場の店長が恋人のいる長野へ行っている間だけ、
カギを預かり、猫の面倒を見る。

父親の面倒を見るために実家にいる悠木は、
父親がカオルという猫を呼ぶのを複雑な思いで聞いていた。
カオルが悠木の家にいたのは20年以上前だった。

洵が月に2〜3度訪れる兄壁の店には、
ボサノバという名前の猫がいた。
ボサノバは兄壁が猫泥棒をした時につかまえた猫だという。

などなど・・・。

ちょっと不思議な、でもやっぱりどこにでもありそうな話。
猫はやっぱりメインではなく、
主人公に飼われているわけではなく、
本当に通り過ぎていく感じ。

井上さんテイストたっぷりの短編集。

一番好きだったのは、一番最後の表題作でもある「さようなら、猫」。
兄壁さんはイマイチ好きじゃなかったけど。
洵の仕事仲間の師田さんの離婚の原因は、知りたかったなぁ。

どれも軽い感じでさらっと読める。
ちょっとひと休み〜〜といったときに読むといいかも。

posted by くりきんとん99 at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 井上荒野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月09日

『夜をぶっとばせ』 井上荒野

夜をぶっとばせ [単行本] / 井上荒野 (著); 朝日新聞出版 (刊)
7日〜8日。

井上荒野さんの中編二編からなるこの作品。
前編は、妻たまきの立場から書かれ、
後編は、離婚して3年後の元夫雅彦の立場から書かれている。

読み始めたとき、ちょっと後悔した。
この本を読む前も暗い怖い本だったから。

35歳のたまきには、カメラマンの夫、雅彦と、
二人の子供、朗と繭の4人で生活していたが、
カメラマンの雅彦の収入ではやっていけず、アルバイトをしていた。
ある日、同窓会で再会した友人の瑤子と一緒にパソコンを購入する。

雅彦との関係が悪いたまきは、どんどんインターネットにのめりこみ、
寂しさから出会い系サイトを利用するようになる。

この前編は怖かった。
たまきもおかしいし、雅彦が怖い。
DVっちゅうやつ。
朗と繭の二人は可愛かったけど。

あ〜〜、やっぱり井上さんだなぁと思った。

離婚して3年後、雅彦は女性と一緒に暮らしていた。
その相手は、あのたまきの同級生だった瑤子。
雅彦は、二人が知り合いだということも知らずにいた。
そんな時、雅彦は偶然公園で、たまきを見つける。

瑤子がどうやら嘘をついているらしいことを
感じた雅彦は、どんどんたまきと暮らしていた時と同じ状態に。

瑤子が出てきたとき、思わず前編を見返しちゃった。
あれ?あの友達も瑤子だったよね?
同一人物?みたいな感じで。

そしてラストは、う〜〜〜ん、これ一体どういうこと?
この後は、どうなったの?
なんだか、前編で憎らしく思っていた雅彦が可哀相になっちゃった。

posted by くりきんとん99 at 19:06| Comment(0) | TrackBack(1) | 井上荒野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月24日

『結婚』 井上荒野

結婚 [単行本] / 井上 荒野 (著); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)
22日〜23日。

引越しに疲れた夜に読書。
DSも片付けちゃったし、本ぐらい読まないとやってられね〜っ。

結婚詐欺を題材にしたこの作品は、
井上荒野さんの父、井上光春氏の同名小説をもとにしているらしい。
もちろん、そちらは読んでない。

この小説は、結婚詐欺にあった女たち、
結婚詐欺師の古海(うるみ)や、その古海と組んでいる千石るり子、
るり子の元夫、古海の妻の初音など。
章ごとに、それぞれの立場から書かれている。

わりと淡々と書かれているのが、
さらに恐怖を煽る井上荒野さんの文章。
やっぱり怖い〜がく〜(落胆した顔)

前半は、騙された女たちの「その後」みたいなのが書かれている。
突然、古海と連絡が取れなくなって、
それでもついつい待ち続ける。
騙されたことを認めず、ただ彼を待ち続けている女たち。

騙される女たちは、様々。
結婚願望の持った冴えない女とか、
年下の夫に嫌気をさしていた単身赴任中の妻だったりとか。
そしてその女たちの1人が、古海を探そうと調べ始める。
ただ、古海から騙し取られたお金を古海本人から取りかえすために。

その古海を追いかける女、鳩子の影が、
後半の章でちらちらと見え、
古海のもとに辿り着くのか?それとも・・・?
と思っているところに、鳩子はるり子の前に姿を現す。

鳩子はどうなったのか?
鳩子とるり子は会ったのか?
すごく怖い。そして気になる。

鳩子ともう顔を合わすことが無いと悟った古海は、
家を出てそしてどうなったのか?

いや〜〜〜っ!モヤッとするし、モヤッと怖い!!

いろんな男や女たちの思いが書かれたこの作品。
そのいろんな思いも怖いし、
その後を考えても怖い。

さすが、井上荒野。

posted by くりきんとん99 at 06:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 井上荒野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする