2016年05月04日

『彼女に関する十二章』 中島京子

彼女に関する十二章 -
彼女に関する十二章 -
30〜3日。

50歳の主婦、宇藤聖子がふとしたことで読み始めた
60年前の「女性論」。
一見古めかしい昭和の文士の随筆と
聖子の日々の出来事は、不思議と似通っていた。

そして50歳になっても
驚くようなことばかり起こる聖子の日常。

初恋の相手の息子から手紙が着たり、
その息子と会ったり、
パート先の事務所で知り合った
元ホームレスがすごく気になったり。
そして息子が突然彼女を連れて帰ってきたり。
(その彼女がすごく無愛想!!)

聖子の何気ないような日常に起きる様々な出来事。
それが本当に何気ない本当にありそうなこと。
そしてそれに対しての聖子の想いも身近に感じられて
すごく面白い。

やっぱり中島さんの作品っていいなぁ。
posted by くりきんとん99 at 10:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 中島京子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月21日

『長いお別れ』 中島京子

長いお別れ -
長いお別れ -
19〜21日。

東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や
公立図書館の館長をつとめたが、認知症を患っている。
長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。

少しずつ進む認知症を
中島さんらしいユーモアのある文章で書かれた連作。

帰り道を忘れちゃったり、
そのくせ難読漢字がスラスラ読め
それを孫たちに自慢したりする昇平。

娘が3人いるが、長女は家族でアメリカ、
次女は近くに嫁ぎ、三女は仕事で忙しい。
最初は、深刻に考えていなかった娘たちも
母の曜子に呼び出され、父の症状を見ていくらか協力的に。

妻の曜子の奮闘ぶりが、
曜子の性格のためか悲惨さを感じさせず、
逆に面白く感じるほど。

でも確実に進んでいく認知症。
老老介護ってこういうことなんだよねと認識させられる。

最後はアメリカにいる長女の息子が
校長に祖父が亡くなったことを淡々と話す。
それが逆に涙を誘う。
posted by くりきんとん99 at 09:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 中島京子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月25日

『のろのろ歩け』 中島京子

のろのろ歩け [単行本] / 中島 京子 (著); 文藝春秋 (刊)
23日〜25日。

中島京子さんの北京・上海・台湾を舞台にした中篇集。
それぞれの場所を訪れた女性たちが主人公。

「北京の春の白い服」
中国でファッション誌創刊のために中国人スタッフと
奮闘する夏美。
春の服を春に着るという習慣のない中国の人を説得するのに苦労し、
また撮影場所を決めるのにも苦労をする。
そんな中で聞く「慢慢走(まんまんぞう)」という言葉。

「時間の向こうの一週間」
夫の仕事のために仕事を辞め、上海にやってきた亜矢子。
夫は仕事で一週間の出張。
そんな中、亜矢子は二人で暮らすためのアパートを
イーミンと名乗る男性と探し歩く。

「天燈幸福」
美雨は、亡くした母が世話になったという
三人の中国人男性に会うために台湾を訪れる。
美雨は、その三人のうちの誰かが母と
恋愛関係にあったのでは?と考えていた。

どの中篇も中国の雑多な感じも、
ちょっと不思議な雰囲気のある感じも、
そして中島さんらしさも楽しめた。

中でも一番好きだったのは、一番最後の「天燈幸福」。
美雨ちゃんがかわいかったし、
結局美雨の面倒を見ることになっちゃう人のいい(?)トニーも
なかなかマイペースで面白い。
美雨が3人のおじさんたちから聞く、お母さんとの話は面白かった。
ただの文通相手だったり、中国語の先生だったり。
でもやっぱり本命は、おじさん3だった。

『小さなおうち』も好きだったけど、
私はこっちの方が好みかも。
やっぱり中島さんの作品は、面白い。

posted by くりきんとん99 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(1) | 中島京子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする