2016年08月26日

『東京會舘とわたし 上・下』 辻村深月

東京會舘とわたし(上)旧館 -
東京會舘とわたし(上)旧館 -
東京會舘とわたし(下)新館 -
東京會舘とわたし(下)新館 -
16〜25日。

辻村深月さんが書いた東京會舘を舞台とした連作短編。
上巻は、旧館。下巻は新館。
章を追うごとに時代も進んでいく。

この物語を読むまで東京會舘を知らなかった。
読んで初めて東京會舘が実在すると知った。
どの物語も心が温かになり優しい気持ちになる。
そしてぜひこの東京會舘に行ってみたくなる。
でもあいにく、東京會舘は建て替えということで
しばらくは休館だという。

物語は、大正12年から、平成27年まで。
上巻では、ヴァイオリニストのコンサートに
作家を目指す青年が金沢から出てきて、
偶然なことに東京會舘で
その憧れのヴァイオリニストと遭遇したというエピソードや、
戦時中、灯火管制下に行われた結婚式、
戦後、米兵たちにカクテルを出すバーテンダー、
お土産用のお菓子を考えるパティシエ等等。

下巻では、新館での物語。
死んだ夫との思い出を探しにやってくる夫人。
ディナーショーを前に震える大物歌手。
東日本大震災にあい、昔、料理教室へ通った
東京會舘へ逃れてくる女性たち、
直木賞を受賞し、思い入れ深い東京會舘へやってきた作家等等。

読メで書いていた人もいたけど、
私も下巻のエピソードの方が好きなものが多い。
地震で東京會舘へやってきた女性。
直木賞を受賞する作家。
それぞれが東京會舘に思い入れがあり、
そのエピソード、そしてその後がまた涙を誘う。

直木賞を受賞した辻村さんならではのエピソードで、
読んでいてもその光景が目に見えそう。

これを読んだらホント、東京會舘に行きたくなる。
でもなぁ〜、なかなか行く機会がないうえに、休館中。
新しい建物で営業が再開されるのは、平成30年ころ。
そのころには、この東京會舘のこと、
忘れちゃってそうだしなぁ。
posted by くりきんとん99 at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 辻村深月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月14日

『きのうの影踏み』 辻村深月

きのうの影踏み (幽BOOKS) -
きのうの影踏み (幽BOOKS) -
11〜14日。

怖がりの私でも辛うじて読める13編の怪談を集めた短編集。
お気に入りの辻村さんのだから図書館で借りたけど、
なぜこの寒い時期に怪談?とちょっと後悔。

だけど思いっきり怖いものはそれほどなく、
全体にじんわりと怖いモノが多い。
怪異のモノだったり噂から来るものだったり、
都市伝説だったり。

そんな中で一番怖かったのは、「噂地図」かな。
いや、「ナマハゲと私」かなぁ。
怖さの種類が違うからなぁ。

でも一番印象に残ったのは、
最後の「七つのカップ」かも。
10年前に交通事故で死んだ女の子の
母親の話だったんだけど、
あまりにも切なく思わず落涙。

怖いばかりじゃない怪談短編集になるのは、
さすが辻村さんといったところなのかな?
posted by くりきんとん99 at 11:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 辻村深月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月22日

『朝が来る』 辻村深月

朝が来る -
朝が来る -
19〜21日。

「号泣必至」と帯にあるけど、
号泣はしなかったなぁ。
でもすごくいい作品だった。

専業主婦の栗原佐都子は、夫の清和と
6歳の朝斗の3人で穏やかに生活していた。
そんなある日、「子どもを返してほしいんです」という電話がかかってくる。
その電話の女は、朝斗の生みの母である「片倉ひかり」を名乗った。

清和と佐都子は、朝斗が幼稚園へ行っている間に会うことにする。
約束の時間に遅れてきた女性は、
朝斗を引き取った6年前にあった女性と同一人物とは思えなかった。

栗原夫妻は、6年前、不妊治療の末に
特別養子縁組というものをしり、「ベビーバトン」という団体に登録。
そして「朝斗」を引き取って我が子として育てていた。

7年前、中学生だった片倉ひかりは、
付き合っていた同級生、巧の子供を妊娠する。
分かったときには堕胎ができない時期になっていた。
そのことを知った両親は、ひかりを「ベビーバトン」という団体へ預ける。

子どものことを真剣に考えだした佐都子が
産婦人科に通い、結局、清和が原因で子どもができないことが発覚。
そして不妊治療の末に特別養子縁組に辿り着くという話も
ちょっとツラいモノだったけど、
中学生だったひかりが妊娠、そして出産。
その後、どんどんと落ちていく姿が読んでいてツラくてしょうがなかった。

お金を用意しようと最後にすがった栗原家では、
「片倉ひかり」を騙る女だと誤解されるし・・・。
まあ、中学生の時に会ったっきりで、
子どもをダシにお金を脅し取ろうとするんだから、
誤解されても仕方がないのか。
でもそれだけ栗原家では、朝斗の生みの親である「片倉ひかり」を
大事に思ってくれていたってことなんだよね。

それより驚いたのは、栗原夫妻の態度。
だって、理解あるんだもん。
理解あるし、懐深いし、おまけに周りに朝斗のことを
オープンにしてたんだよね。養子だって。
でもそういう夫婦だったから、養子をもらうことができたのかな?

もう、ひかりには闇しか残っていないのかなと思ってたけど、
そこはやっぱり辻村さんだよね〜。
号泣はしなかったけど、うるっときそうになっちゃった。
その後がどうなったか知りたいけど、
でもきっとみんな幸せになれたんじゃないかな?
posted by くりきんとん99 at 21:31| Comment(0) | TrackBack(1) | 辻村深月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする