2012年07月07日

『新月譚』 貫井徳郎

新月譚 [単行本] / 貫井 徳郎 (著); 文藝春秋 (刊)
3日〜7日。

560ページなだけあって、読み応えがあった!!
貫井さんの作品は、『灰色の虹』に続き、これが二作目。
『灰色の虹』とは全然違ったけど、これも重い物語だった。

渡部敏明は、出版社に入社して3年の編集者。
敏明は、8年前に突然絶筆した美人作家、咲良怜花に
もう一度小説を書かせようと熱心にアプローチする。

そんな敏明に、怜花は何故自分が絶筆したかを話し出す。
そこで明かされたのは、ある男性との凄絶な恋愛の顛末だった。

咲良怜花、本名、後藤和子は、木之内徹と面接で初めて出会う。
木之内が社長をする会社に勤務が決まった和子は、
自分の容姿が醜いことから、陰気な性格だった。
そんな和子は、どんどん木之内に惹かれていく。

木之内とつき合うようになった和子だったが、
木之内が不誠実で頻繁に浮気をすることに悩み、
それを友達の季子に相談。
季子は和子の話に興味を持ち、木之内に近づいていく。

作家だった咲良怜花が、敏明に過去のことを話して聞かせるこの物語、
何となく、昔、直木賞を獲った小池真理子の「恋」を思い出させる。
内容は全然違うんだけど、あれも一人の男性のせいで、
人生が狂った女性の話だったような・・・。

和子は、木之内と季子の裏切りに会い、
大変なダメージを受け、自分の醜い顔のせいだと考え、
生まれ変わることを決意する。
そしてとうとう、顔を全面的に変えてしまう整形手術へ踏み切る。

もの凄い美人に生まれ変わるが、
なかなかうまく生きていくことができない和子は、
小説を書くようになり、その小説が新人賞を獲る。

和子の人生の節目、節目で木之内の言動、行動が大きくかかわってくる。
この木之内って、そんなにいい男か?
醜かった和子にとって良いことを言ってくれるだけの男では?
和子がそこまで人生をかける男か?とついつい思ってしまう。
これ、女性作家が書いたらまた違う木之内像になって面白かったかも。

和子が売れっこ作家の鴻池を振ったときには、
思わず「それもったいない〜」と本を読みながら呟いちゃったよ。
不誠実な木之内より売れっ子作家のほうがいいに決まってる!!
誠実だし。やっぱり顔を変えちゃったのが良かったのか悪かったのか・・・。

敏明にすべてを打ち明けた後の和子が切ない。
哀しい、寂しい終わり方だった。

読んでいる最中に、直木賞候補になったこの作品。
来るかなぁ〜?

posted by くりきんとん99 at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 貫井徳郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月04日

『灰色の虹』 貫井徳郎

灰色の虹灰色の虹
(2010/10)
貫井 徳郎

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31日〜4日。 初めて読む貫井徳郎さんの作品。 冤罪ですべてを失った主人公江木雅史が、 事件にかかわった刑事、弁護士、検事等を殺していくという物語。 テーマ自体がすごい重いものなんだけど、 こわい、つらい、悲しいストーリーだった。 雅史が事件に巻き込まれる前から、 現在までのストーリーと、 冤罪を作り出した人たちが殺されるまでが交互に書かれている。 思い出すのは、菅野美穂主演のドラマ「ギルティ」。 あれも冤罪がテーマで菅野美穂が係った人たちを殺していくものだった。 ただ「ギルティ」は、仕組まれて冤罪になったというものだったんだけど、 この物語は違う。 刑事は、冤罪だということに気づいていない。 ただ、自分なりの正義のために、自白させた。 検事も正義のため。 弁護士は、雅史の無罪を信用しなかった。 あるのは状況証拠ばかり。 物証はほとんどなかった。 冤罪って簡単に起こり得るのでは?と思わされた。 そして、取り調べは録画すべきと強く思った。 刑が確定し、出所するまでの雅史が、 どんどん絶望していくのがツラい。 そして雅史の母親の一生懸命さが痛い。 事件にかかわった刑事が事故死。 さらに検察官、そして弁護士が殺されたことで、 警察がようやく一連の事件が江木のものであることに気づく。 事件にかかわった裁判官、目撃者に警告するが・・・。 結末は何となくわかってたけど、 あまりにも可哀想。 そしてラストのエピソードでは思わず泣いてしまった。
posted by くりきんとん99 at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 貫井徳郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする