2015年06月17日

『ミツハの一族』 乾ルカ

ミツハの一族 -
ミツハの一族 -
14〜16日。

大正時代の北海道が舞台。
厚別に在住らしい乾さんが描く地元で、
読んでいても知っている地名が出てき嬉しくなる。

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。
そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。
鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、
「ミツハの一族」と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。

黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に
烏目役の従兄が死んだと知らせが届く。
墓参りのため村に訪れ、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、
そこで美しい少女と出会う。

人が未練を残して死ぬと鬼となり水が濁って、
そして池にその鬼が立つ。
鬼を見ることができるのは水守だけ。
そしてその水守に命令できるのは烏目役だけ。

土着的な信仰で、でもなんとも美しい描写。
そしてそれぞれが残す未練。
水守は、鬼の様子を烏目役に告げて
烏目役はその話から、未練を推理する。

ある意味ミステリーなのか?
そして、ある意味、恋愛ものでもあるのか?

一応、連作短編でその章ごとに
鬼を送っていく。
従兄の鬼だったり、子どもの鬼だったり。

一番の肝は最後の物語。
清次郎本人が鬼で、八尾家の傍流の出の
富雄が烏目役になり、何とか清次郎を送ろうとするんだけど、
その未練が、わかるんだけど、
解消の仕方がなかなかわからないんだよね。

いろいろ試すんだけど、それは何とも切ないモノ。
でも久々に読みたかった乾さんだったかも?
posted by くりきんとん99 at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月27日

『森に願いを』 乾ルカ

森に願いを -
森に願いを -
20〜27日。

1冊読むのに一週間もかかっちゃった。
やっぱり先週から転職したのが響いている。
忙しいんだよね〜。で、本を数ページ読んだだけで、
疲れて寝ちゃうんだよね〜。

今回の乾さんは連作短編。
それも札幌の街中にある大きな森が舞台。
その森に訪れるいろんな人たちと森番の青年との物語。

「色づく木」
不登校になった一人息子の穂高が
毎朝、どこへ行くのか気になった母の亜希子は、
ひそかに穂高のあとをつける。
穂高が入っていったのは、街中にある大きな森だった。

「春めく木」
就活が上手くいかない麻衣は、
偶然入り込んだ森にあるハルニレの木に
石をぶつけていたところを森番の青年に注意される。

「雪待つ木」
がんを患い余命が短いことを知った丹俊光は、
治療をしないことを決め、毎日病院から
近くの森の中にあるあずまやへ。

「病の木」
名門私立の男子校へ通う長部は、
あることがきっかけで不登校に。
寮から学校の隣にある森でサボっていると
森番の青年にバラの手入れの手伝いを頼まれる。

「育ちゆく木」
52歳の鳥居は、会社でリストラの危機にあった。
仕事帰り、久々に森に立ち寄った鳥居は、
背も声も高い青年と出会う。

「とらわれの木」
5年前に予備校のアルバイトをやめ、
その後ずっとハローワークに通っていた奈々は、
勤めていた予備校の正社員、小南のことをずっと恨んでいた。

「新たなる木」
学校へも行かず森の中にある円状の場所にいた男子高生は、
森番の男性に声をかけられる。
だがその男子高生は、声を発しようとしなかった。

どの物語も静かに淡々と…。
でもなんとなく心が温まる。
どの物語も救いがあるんだよね。
訪れる人たちに。

派手さはないんだけど。

それでもいろんな事情を抱えた人たちを
森と森番の青年、そしてたまにメアリという外国人が癒してくれる。
だからといって、あからさまに癒すっていうんじゃなく、
あとから考えると、あ〜〜って感じ?

乾さんの作品は、えぐいやつもあるけど、
こういうのが好み。
それに札幌在住(だったと思う)なだけあって、
札幌が舞台のものが多いから想像しやすいんだよね。
でもこの森のモデルは、さすがにフィクションかな。
それとももしやあの札幌駅近くにある豪邸・・・?
posted by くりきんとん99 at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月29日

『11月のジュリエット』 乾ルカ

11月のジュリエット -
11月のジュリエット -
26〜29日。

こ〜れ〜は〜、気持ち悪かった。
今回の乾さんはこっちにきたかって感じ。
タイトルはきれいなんだけどなぁ。

高校2年の優香は修学旅行でNYへ行くために乗り込んだ飛行機で、
謎のガスにより乗客が大量死する事件に巻き込まれる。
生き残ったのは、優香を含めたったの5人。
優香と同じ高校の小田と陣内という気の弱い青年、
中年男性の白山、そしてドクターイウチだった。

地獄と化した機内に現れたのは、4人の美青年たち。
その美青年たちは、「NJ」という研究のデータをドクターイウチから奪うため、
秘密に触れた優香たちをも葬り去ろうとする。

その4人と対峙するうち、生きることに無気力だった優香は、
だんだんと変わり始める。

いや〜〜、気持ち悪かった。
あの乗客たちが死んでいくシーンが壮絶で。
青年たちの美しさが綺麗な描写で書かれれば書かれるほど、
なおさら気持ち悪く感じるんだよね〜。

それにしても、美青年たち、サミュエルと
ゼタと双子のキーラにイール。
どれだけの地獄を見てきたのか。
その未来を変えようとここまでのことをするんだから。
それも淡々と。

後半になればなるほど、優香たちが生き残ろうと
彼らと戦うシーンに読んでいても力が入り。
そして読み終わったときには脱力。

優香や陣内が変わっていったのはいいことだけど、
それと引き換えにしたものが大きすぎる。
そしてサミュエルたちが願った通りに未来は変わったのか?
結局変わらないのか?
なんともビミョー。

面白かったけど、なんだかすっきりしないわ。
posted by くりきんとん99 at 22:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 乾ルカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする