2014年09月14日

『糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ』 吉永南央

糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ -
糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ -
9〜12日。

『紅雲町珈琲屋こよみ』シリーズ4作目。

今回も「小蔵屋」の女主人、お草さんの
周りで起こるちょっとした問題や謎が描かれている連作短編。
あんまりミステリーな感じはないんだけど。
そして今回は、古くからある5件だけの小さな商店街
「ヤナギ・ショッピング・ストリート」が舞台。
このヤナギの改装が絡んで、いろいろとおきる。

ヤナギで「帰っておいで」と書かれた手紙を拾った直後、
黒い外車に引かれそうになったお草さんは、
電気店の店先にあるレアなマスコット人形を壊してしまう。
そしてそのことから小蔵屋は嫌がらせにあう。

お草は、ヤナギの改装を手掛ける弓削が、
戸棚に手を入れ、何かを伏せているのを見かける。
弓削はこのヤナギの大家である水上手芸店の嫁、千景の娘だった。

お草をひきそうになった外車の運転手、佐々木が、
雇い主がお詫びに改装の費用を出すと言ってくる。
だがそれには、条件があった。

ヤナギの店子、工藤が店を辞めると言い出した。
他に入店する予定だった、工藤の友達の靴屋も。
どうやら、佐々木が絡んでいるようだった。

ヤナギにある建物の壁に、古谷という陶芸家の絵が描かれ
さらに失敗した作品が壁に入れられているという話をお草は知る。
佐々木の雇い主は、それを手に入れるために佐々木を使っているようだった。

なんか今回は、お草が引かれそうになるという、
なんとも不穏な感じで始まり、
意外なところからヤナギの改装の話がおかしくなっていく。
さらに設計を手掛ける弓削がちょっと意固地になってる感じもあったり。

ずっとやっぱり気になってたのは、
お草を引いた外車が、なぜ狭い道を
右側によって走ってたのか?
それは後半のほうでわかるんだけど、
とりあえず、お草さんが無事でよかった。

お草さんは、ちょっとおしゃれな、でも普通のおばあさんなんだけど、
ちょっとずつ、謎を解いていって、
それによっておこった問題をさりげなく解決。
そつがないというかなんというか。

マスコット人形を壊したことから、
嫌がらせを受けた時は、どうなるのかと思ったけど。

わりと良い感じで終わったけど、
読後感は意外とすっきりしなかった。
読んでて佐々木が嫌いだったからかな?

でも、失敗した作品が壁に塗り込められてたんじゃなくて、
実は・・・っていうのは、ちょっと笑っちゃった。
posted by くりきんとん99 at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉永南央 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月11日

『名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ』 吉永南央

名もなき花の
7日〜11日。

『紅雲町珈琲屋こよみ』シリーズ3作目。
確か一作目の帯には「おばあちゃん探偵」って、
書いてあった気がするんだけど、あんまりそんな感じは
無くなってきている気がする。

小蔵屋の女主人、70代後半のお草さんの
身の回りで起きるちょっとした事件や謎が、
お草さんの目線から描かれている。

安く卸してくれていたコーヒー問屋の社長が交代。
お草さんは新社長にあおうとするがなかなか会えなかったり、
店でコーヒーを飲んでいた客が首をかしげる仕種をしたことから、
自分の腕を心配し、師匠に会いに行ったり・・・。
と、わりと日々の問題が描かれている連作短編集なんだけど、
十数年前のある事件だけがずっと描かれている。

それは、お草さんの幼なじみ、由紀乃の親戚の
勅使河原先生の研究にまつわるモノ。
それは、十数年たった今も
勅使河原先生の娘ミナホ、弟子の萩尾と藤田に暗い影を落としていた。

ミナホに笑顔になってほしいお草さんは、
いろいろと調べ始める。

調べると言っても探偵とか刑事みたいに、
あちこちを聞きまわるわけじゃないんだけどね。
お草さんは、自分で無理のない範囲で調べていく。

自分のことより、まわりの人たちのことを
ついつい考えて心配してしまうお草さん。
もういい歳なんだから、少しは自分のことを考えればいいのに。
ま、それがお草さんなんだろうけど。

でも今回は、お草さんの過去のことがけっこう書かれていた。
お草さんのなくなった息子のこと。
もちょっと書いてほしかったけど。
もしかして、お草さんの過去で1冊出すのかな?と思ったりして。

結構深刻な内容だったから、
お草さんの胸の痛みが伝わってくる。
ラストは、良い終わり方だったけど、
次作は、もっと明るいお話にしてほしいなぁ。

posted by くりきんとん99 at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉永南央 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月10日

『RE*PAIR(リペア)』 吉永南央

RE*PAIR [単行本] / 吉永 南央 (著); 中央公論新社 (刊)
9日〜10日。

この本、返却期限が明日だから、
昨日から、大急ぎで読んだ。
ホントは昨日のうちに半分くらい読みたかったんだけど、
4分の1で睡魔に負けちゃって、
おかげで休日の今日は、ほとんどこれを読んで過ごした。

久々に読む吉永さんは、やっぱり吉永さんらしい文章で、
「誘う森」を思い出した。

リペア職人の透子は、10年ぶりに元婚約者ケイを見かける。
ケイは透子のアトリエ兼住宅と川で挟んだ向かいのマンションに越してきた。
それも妻と息子と一緒に。

動揺する透子のもとに持ち込まれたボストンバックの中には、
肉片の付いた爪が入っていた。

10年前、ある事件をきっかけに2人は婚約を解消。
町にいられなくなったケイは家族とともに神戸へ越していた。

そんな透子のもとへ、10年前の事件を担当した刑事、丹羽が訪れる。
その数日後、丹羽が追っていた容疑者、堤の足が発見される。
堤を殺したのは、透子の母、里子なのか・・・?

ケイとのことや、その息子、圭、常連客、江波とのことなどの他にも、
いろいろなこと(生爪とか)が起きるけど、やっぱり10年前のことが重要になる。
でもなかなか明かされないその事件。
いったいどんな事件があって、二人は婚約解消したのか?
透子の母は、いったい10年前何を・・・?
そしてバラバラ遺体は・・・?

ドロドロになりそうな内容なんだけど、
そこはやっぱり吉永さん、淡々と書いている。

登場人物たちもそれぞれに魅力的なんだけど、
静かな人が多いし、大人な人が多い。
でもなぜか年寄りの人も若い感じがするんだけど。

ケイとの関係、そして過去のこと。
いろいろ悩みながらも最後に決断をする透子は、カッコよかった。

リペア職人の透子は、
最終的に10年前におかしくなった自分の人生を
自分でリペアしたってことだったのかなぁ?
posted by くりきんとん99 at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉永南央 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする