2016年04月09日

『バベル九朔』 万城目学

バベル九朔 -
バベル九朔 -
4日〜9日。

久々の万城目くんの新作は、
万城目くんらしくないというか、
とっても万城目くんらしいというか・・・。

作家志望の「夢」を抱き、
雑居ビル「バベル九朔」の管理人を務めている俺の前に、
ある日、全身黒ずくめの「カラス女」が現われた。

「扉は、どこ? バベルは壊れかけている」。
そうカラス女に問われたが扉とは?バベルはこのビルでは?

巨大ネズミの徘徊、空き巣事件発生、
店子の家賃滞納、小説新人賞への挑戦――。

心が安まる暇もない俺がカラス女の仲間に追われ、
逃げ込んだ部屋でうっかり触れた一枚の絵。
その絵は、俺の祖父、大九朔が描いたという。

その瞬間、俺はなぜか湖で溺れていた。
ようやく気に仕上がった俺の前に見知らぬ少女がいた。
その少女から、「鍵」を受け取った俺の前に出現したのは、
雲をも貫く、巨大な塔だった。

なんとも暗い感じの物語。
同じ場所をぐるぐるとまわっているような感覚。
そしてそれが、長いんだよね。
だからなかなか進まなかったけど、
大九朔が作った方のバベルに
カラス女が現れたあたりから一気に面白くなった。

カラス女は味方なのか、
それとも少女が味方なのか?
25年も前に死んだ大九朔が建てたというこの大きな塔は…?

帯にある通り確かにこれは奇書だわ。
結局いったいどうなったの〜?
この後どうなるの〜?って感じだもん。

でもよく分かんないなりに、
すっごく引き込まれたのは、万城目くんだからなのかな?
posted by くりきんとん99 at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 万城目学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月25日

『悟浄出立』 万城目学

悟浄出立 -
悟浄出立 -
24〜25日。

大好きな万城目くんの最新作。
今度は中国の古典に出てくる脇役たちにスポットを当てた短編集。
万城目くんの売りの奇想天外さは全くない。
でもこれもなかなかいいよね。

「悟浄出立」
西遊記の沙悟浄が、猪八戒に昔のことを聞く。
猪八戒は、昔、天蓬元帥という天界中にその名をとどろかせた
稀代の名将だった。
なぜ、猪八戒は、今のようになってしまったのか?

「趙雲西航」
三国志の趙雲。
趙雲は張飛とともに船に乗り西を目指していた。
趙雲は、船酔いとは違う気分の悪いものを
張飛に対して感じていたが、その原因が分からずにいた。

「虞姫寂静」
史記の虞美人。
ある日、僧に連れられ大王(項羽)のもとへ行き、
大王に名前を与えられた虞美人。
数年後、敵に囲まれた項羽は、
虞美人に名前を返すように言う。

「法家孤憤」
咸陽宮に勤めていた京科(けいか)。
ある日、陛下(秦王のちの始皇帝)が刺客に襲われた。
大騒ぎの中、京科は、犯人が荊軻(けいか)という名前だということを知り、
数年前に出会った男ではないかと考える。

「父司馬遷」
栄は、父、司馬遷が、無事に獄から戻ったことを知る。
父に会いに行った栄は、
変わってしまった父を見て、逃げ出してしまう。
司馬遷は、宮刑を処されていた。

どれもちょっと切なくなるような話。
三国志くらいしか読んでなかったけど、
そんな私でも十分楽しめたし、どれもよかった。
元ネタ知っていれば、もっと面白かったのだろうけど。

一番好きなのは、最後の「父司馬遷」かな。
屈辱的な刑に処され、戻ってきた司馬遷。
まるきり変わってしまった司馬遷を栄が、
やる気にさせるんだよね。

虞美人の話もよかった。
四面楚歌って、こういう状況だったのね〜。
荊軻の話も面白かったけど、こんな話もあったんだ。

滅多に読むことのない中国の古典。
こんな視点て読むと面白いかも。
posted by くりきんとん99 at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 万城目学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月21日

『とっぴんぱらりの風太郎』 万城目学

とっぴんぱらりの風太郎 [単行本] / 万城目 学 (著); 文藝春秋 (刊)
13日〜21日。

久しぶりの万城目作品は、
746ページと超大作!そして初の時代モノ!
・・・長かった。
このタイトルだし、万城目君だし、
ま〜いつものように
奇想天外な万城目ワールドが展開されているに違いない・・・
といった考えは、間違っていた。

まあ確かにちょっと突飛で笑っちゃうところはあったんだけどね。
でもいままでの奇想天外さを考えるとかなり大人しいのでは・・・?

時代は戦国。
伊賀の忍び、風太郎(ぷうたろう)は、
仲間の蝉左衛門にはめられ、伊賀にいられなくなる。

京に住み着き、その日暮しの風太郎のもとに
追い出された原因となった忍びの黒弓がひょうたんを持って訪ねてくる。
そしてさらに因心居士(いんしんこじ)と名乗る老人が現れる。
因心居士は、風太郎に明日行くひょうたん屋に届けてほしいと頼む。

この因心居士がひょうたんなんだよね〜。
その時点で、奇想天外なんだけど、
でも今までの作品のインパクトを考えるとそうでもない。

清水寺の参寧坂にある瓢六で仕事をするようになった風太郎は、
高台院の屋敷で同じ伊賀の仲間だった常世と再会する。
そしてそこで、忍びとして寧々様から仕事をするように言われる。

伊賀を追われ、忍びじゃなくなった風太郎。
でも風太郎は何とか忍びに戻りたかった。
それでこの後も、戦に出ちゃったりする。
その戦のシーンが万城目作品らしくなく、重く凄惨なもの。
その辺が、進まなかった原因だったりするんだよ。
でもひさご様が出てくるところは結構好きだったなぁ。

祇園会で蹴鞠をやってるのは良かった。
その後が大変だったけど。

そして終盤、風太郎がひさご様と再会する。
それも戦のさなかで。
そこは読んでて辛かった。
でも、風太郎は大丈夫!って思ってたんだけどなぁ。
読み切ってからもしばらく引きずりそうなラスト。
だっていっぱい死んじゃうんだもん。
でもこれって、「プリンセストヨトミ」に繋がってくんだよね?
そう思えば、ちょっと光も見えるかも?
posted by くりきんとん99 at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 万城目学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする