2016年07月31日

『ラストナイト』 薬丸岳

ラストナイト -
ラストナイト -
30〜31日。

読みやすくて面白かった。
おかげで久々に一気読み。

顔には豹殻の刺青、左手は義手。
菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で
刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。

かつてこの店で傷害事件を起こしてから、
自身の妻とも離婚し、32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。
獣のような雰囲気は人を怯えさせ、
刺青に隠された表情からは本心が全くつかめない――。
何故、彼は罪を重ねるのか?

片桐が出所してからの数日間を
いろんな人の視点から描いている。
居酒屋を営む昔からの友人・菊池正弘や
片桐を担当した弁護士・中村尚、
離婚した妻が連れて行った娘・松田ひかり、
梶原史郎の妻・森口絢子。
そして、菊池の営む居酒屋の常連・荒木誠二。

最初は、何を考えているのかさっぱり分からない片桐だったが、
読み進めているうちに段々と透けて見え始める。
なぜ、出所するたびに罪を犯すのか。

罪をまた犯すのでは?と考えた弁護士の中村は、
なんとかしようと菊池に会い、片桐の娘を探し出し訪ねる。
ひかりは、中村の過去を聞き、
片桐と会うことを決意する。
絢子は、最初は片桐の警戒しながらも、
片桐のことを信頼し始める。
そして荒木は…。

荒木もさっぱり分かんなかった。
刑事なのかとも思ったけど、
まさかそんな理由で片桐を見守っていたとは!

それにしても、なんとも切ない物語。
片桐が妻と別れた理由もツラいし、
罪を重ねる理由も切ない。
だけど、復讐の形は変わったと信じたい。
それで、片桐はきっと救われたのでは?
そう思わないとあまりにも切なすぎる。
posted by くりきんとん99 at 13:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬丸岳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月31日

『悪党』 薬丸岳

悪党 -
悪党 -
28〜30日。

お気に入りの薬丸さん。
少し古めのものを借りてきた。

自らが犯した不祥事で職を追われた元警官の佐伯修一は、
今は埼玉の探偵事務所に籍を置いている。
決して繁盛しているとはいえない事務所に、
ある老夫婦から人捜しの依頼が舞い込んだ。

自分たちの息子を殺し、少年院を出て
社会復帰しているはずの男を捜し出し、
さらに、その男を赦すべきか、赦すべきでないのか、
その判断材料を見つけて欲しいというのだ。

この仕事に後ろ向きだった佐伯は、
所長の命令で渋々調査を開始する。
実は、佐伯自身も、かつて姉を殺された犯罪被害者遺族なのだった…。

この作品は、連作短編で、
犯罪前歴者の追跡調査を売りとし、
それを調査していく佐伯の心の動きが書かれている。

佐伯の調査の結果により一生をダメにしてしまった人たちもいたり、
過去に家族を失った人が、その後の加害者のことを知り、
きちんとその後を過ごしていったり。

そして佐伯は、姉を殺した犯人を独自に調査。
カレは、加害者たちを許せるのか、それとも?
あまりにもかわいそうな過去。
でも、いつもこの薬丸さんの作品を読むと思うけど、
実際にこういうことは、多々起きているに違いない。

佐伯の父親が言ったセリフは良かったなぁ。
「いつでも笑っていいんだぞ。
 いや、笑えるようにならんきゃいけないんだぞ。
 おれたちは絶対に不幸になっちゃいけないんだ。」
思わずうるっとしちゃったよ。
posted by くりきんとん99 at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬丸岳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月14日

『Aではない君と』 薬丸岳

Aではない君と -
Aではない君と -
11〜12日。

面白かった!けど、怖くもあった。
怖くてでも先にが気になって止まらない。

仕事の打ち上げの最中、元妻が引き取った息子の翼から
電話がかかってくるが、出なかった吉永。
折り返し電話を掛けるがつながらない。

数日後、勤務中の吉永のもとに警察がやってきた。
翼が死体遺棄容疑で逮捕されたという。
しかし翼は弁護士にも警察にも何も話そうとしない。
そして吉永にも。

吉永は少年法十条に保護者自らが
弁護士に代わって話を聞ける『付添人制度』があることを知る。
生活が混乱を極めるなか真相を探る吉永に、刻一刻と少年審判の日が迫る。

父親である吉永の目線で書かれた本作。
勤務先に翼のことを話さず、
休みを頻繁に取る吉永にハラハラ。
そしてやっぱりバレちゃうんだよね。
マスコミに押しかけられて。

中学2年生が同級生を殺した凶悪犯罪ということで、
注目されちゃうんだよ。
そして肝心の動機を喋ろうとしない。

少年審判だから、大人の刑事裁判と
手順とかがけっこう違うんだろうけど、
それでも素人にも分かりやすい。
だからなおさら、感情移入しちゃったんだろうけど。

最近起きるこういった事件の背景も
こんな感じだったりするんだろうなぁと
妙にリアルに感じる部分が多々。

終盤、翼が社会に戻り、
立ち直ったかに思えたが、
過去に起こしたことが原因で、
上手くいかなくなってしまう。

やっぱり、これだけのことをやって、
普通に生活できるわけがない。
きちんと反省していたって。

最後、これで本当に更生できるのかな?と
思わせるものだった。

これは、大人だけじゃなく、
幅広い年代に読んでもらいたいなぁ。
posted by くりきんとん99 at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬丸岳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする